室井先生の疫学批判・コホート研究にすぎない

疫学にできることはある種の「相関性」を取り出すことだけであり、決して「因果関係」を証明することはできません。
(「タバコ狩り」p81)

室井先生は疫学研究がどういうものか、理解していないようです。無数の「相関関係」から「因果関係」を導き出す方法論、ノウハウが疫学であると言っていいと思います。

ある物質に曝露した集団と曝露していない集団を比較するコホート研究と、ある疾病による症例を、性、年齢、社会的背景などを比較・解析する症例対照研究の二種類がありますが、タバコに関する研究のほとんどはコホート研究にすぎません。そこでは、社会的背景は反映されていないのです。
(p81)

この解説は壊滅的に間違っています。《曝露した集団と曝露していない集団を比較する》ことも、《性、年齢、社会的背景などを比較・解析する》ことも、コホート研究、症例対照研究の両方とも行います。
コホート研究は《性、年齢、社会的背景など》の影響の少ない集団を選んで長期的に観察する研究です。より信頼度が高いのはコホート研究の方です。
どうやって仕入れた知識かわかりませんが、疫学について一般人向けの本すら読んでいないことは明らかです。嘘まみれの嫌煙キャンペーンを、大学人はどう考えるのか?(初出:大学内パンフレット「ヘルシーキャンパス21」2005年9月16日発行)」からおよそ4年。疫学研究に基づく発表を疑問視し続ける室井先生ですが、WHO等の専門機関がどういう研究をしているか調べようとする気も無いのでしょうか。