室井先生の疫学批判・疫学は推計に過ぎない

ここからp79〜「疫学の問題点」です。
p79〜81で述べていることをまとめると、

  1. 「疫学は推計に過ぎない」
  2. タバコは動物実験で肺ガンは発生できない
  3. 動物実験で肺ガンが発生した他のものがあるのに、有毒性が喧伝されているのはタバコだけ

上記について言いたいこと。

  • 疫学調査をしない病気はない(最初に行われるのが疫学調査
  • どの病気でも疫学調査は重要視されている
  • 動物実験で発生が確認できても、疫学調査で認められないものは重要視されない(マウスやラットは人間じゃない、慢性ヒ素中毒で人は発ガンがあるが動物実験では認められない)
  • 病因物質(細菌やウイルス、栄養素の欠乏等)や機序が判る前に、「井戸」や「不潔な手」や「麦飯を食わせる」などを特定できるのが疫学調査
  • コレラ、産褥熱、脚気など、病因物質を特定するまえに病気を抑えることの出来た例は幾多ある。(「ジョン・スノー コレラ」、「ゼンメルバイス OR ゼンメルワイス 産褥熱」、「高木兼寛 森鴎外 脚気」等で検索してみてください)
  • 「疫学は推計に過ぎない」で疫学調査を軽視すると、解明を遅くするだけである。水俣病の認定問題も、早期に疫学調査に基づき摂取を制限すれば拡大を防げたし、認定問題においても早く解決したという*1

ですから、タバコの害に関する「科学的研究」というのはすべて疫学的統計調査によって行われているものなのです。疫学はもちろん「科学」です。ですが、疫学にできることはある種の「相関性」を取り出すことだけであり、決して「因果関係」を証明することはできません。タバコの場合は、都合のいいデータや数字だけを取り出して、恣意的に数字を操作したり、誇張して伝えたりしているだけであり、「タバコ=肺ガンの原因」説は科学的には完全に証明されているとはとうてい言いがたいのです。
(「タバコ狩り」p81)

《タバコの場合は、都合のいいデータや数字だけを取り出して、恣意的に数字を操作したり、誇張して伝えたりしている》と述べていますが、室井先生は世界中の研究から、《都合のいいデータや数字だけを取り出し》た具体例や、《恣意的に数字を操作した》具体例を出せていません。《誇張》は宣伝、広告の部分を述べているものと思いますが、それは《誇張》した表現です。